組合だより第33号「森と、杣と。」を発行しました。
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高島市域の約53%は森林です。
この森林のうち人工林は約44%で、その多くは建築用材などとして利用されるスギやヒノキが植林されています。
一方で、天然林では広葉樹をはじめとして多様な生態系が形成され、琵琶湖の水源涵養や生物多様性の保全としての機能も果たしています。
戦後の高度成長期以前には、この広葉樹林は薪や柴などの燃料、あるいは、肥料(厩肥)となるホトラヤマとして広く利用されていましたが、経済成長によりガスや石油が燃料として導入され、化学肥料が用いられるようになってからは、その役割が低下し、放置されることで荒廃し、現在は樹木の大径木化が進んでいます。
この大径木化した広葉樹のうち、特にコナラについては森林資源として再評価し、その活用を進めています。
直径が26cm以上の大径木については、フローリングなどの建築用材や家具用材として利用し、それ以下については、ストーブ用の薪などの燃料として、15cm以下の幹や枝についてはしいたけ原木として根強い需要があります。さらに細い枝については、焚き火用の薪としての商品化も始めています。このいずれにも利用できない部位や製材加工の工程で発生する端材については、おが粉として菌床しいたけや菌床ヒラタケ用の原料として、あるいは、製紙用チップや燃料用チップとして利用しています。
このように、コナラに限らず、木材を森林資源として有効に使うことにより歩留りを向上させ、資源価値を高めることは、森林の所有者である組合員の利益を増すことにもなります。 高島市域の約53%は森林です。
この森林のうち人工林は約44%で、その多くは建築用材などとして利用されるスギやヒノキが植林されています。
一方で、天然林では広葉樹をはじめとして多様な生態系が形成され、琵琶湖の水源涵養や生物多様性の保全としての機能も果たしています。
戦後の高度成長期以前には、この広葉樹林は薪や柴などの燃料、あるいは、肥料(厩肥)となるホトラヤマとして広く利用されていましたが、経済成長によりガスや石油が燃料として導入され、化学肥料が用いられるようになってからは、その役割が低下し、放置されることで荒廃し、現在は樹木の大径木化が進んでいます。
この大径木化した広葉樹のうち、特にコナラについては森林資源として再評価し、その活用を進めています。
直径が26cm以上の大径木については、フローリングなどの建築用材や家具用材として利用し、それ以下については、ストーブ用の薪などの燃料として、15cm以下の幹や枝についてはしいたけ原木として根強い需要があります。さらに細い枝については、焚き火用の薪としての商品化も始めています。このいずれにも利用できない部位や製材加工の工程で発生する端材については、おが粉として菌床しいたけや菌床ヒラタケ用の原料として、あるいは、製紙用チップや燃料用チップとして利用しています。
このように、コナラに限らず、木材を森林資源として有効に使うことにより歩留りを向上させ、資源価値を高めることは、森林の所有者である組合員の利益を増すことにもなります。



コナラの原木Φ15cm以下の幹や枝は、原木シイタケ用のほだ木として利用。マキノ町などでは地場産業として原木シイタケが生産されている。



家具や建材などの用材、燃料、シイタケほだ木などとして利用できない部位を粉砕したおが粉として利用し、今津町保坂の組合施設で菌床シイタケの培地を生産している。


コナラの原木Φ15~26cmを玉切りし、薪ストーブ用の燃料として加工販売している。高島に移住された方には薪ストーブのある暮らしを楽しむためにコナラの薪は根強い人気がある。


大径化したコナラなどの広葉樹は建築用のフローリングなどの用材として利用できる。広葉樹を家具や建材の用材として利用することで木材としての価値を高め、森林所有者へ利益を還元できる。
コナラのΦ26cm以上の原木は家具や建材などの用材として利用している。このソファーの材料として「くつきの森」で伐採したコナラの木材を使い、岐阜県の家具メーカーで加工、組み立てた。









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マキノ町白谷にある西武グループ所有の山林で森林整備を進めています。マツ枯れやナラ枯れの被害を受けた広葉樹林を、シイタケ原木を生産するクヌギ林へと更新する造林施業です。
また、伐採木を利用して薪ストーブ用の薪づくりにもチャレンジしています。生産した薪は西武グループのホテルで利用される予定です。次世代に向けて更新するだけでなく、まずは「今あるものを使い切る」という、森の循環につながる取り組みです。植栽したクヌギも順調に育っており、これからの成長が楽しみです。広葉樹の価値も少しずつ見直され、森の新しい活かし方が広がっています。

森林所有者や市役所職員とともに京都府舞鶴市の林ベニヤ舞鶴工場を視察しました。ここは、近畿一円から原木を受け入れ、国産材使用率が90〜95%の合板を、1日あたり約900㎥生産できる大型の工場です。
製造工程として、まず原木を蒸して、皮をむいた後に玉切りし、かつらむきの要領で1.6〜3.5ミリの単板に加工、乾燥・調板を経て、熱を加えながら圧縮して接着するまで製品化への一連の流れを見学しました。
使用している木材はスギ40%、ヒノキ30%、その他マツ等30%で、直径や長さなどの受入規格についても解説を受け、川上の生産者として参考になる情報でした。加えて、製造時に出た木片やチップ等は自社の敷地内のバイオマス発電の燃料として使用しており、木材を無駄なく活用されていることも強く印象に残る視察でした。

森林組合連合会機関誌「森林組合」 No.671 2026年5月号 寄稿文
森林組合の代表的な仕事は、木を育てて伐ることで、主に森林を整備することにあります。しかしその仕事の多くは山の中で行われるため、社会や地域の人々にとっては見えにくく、森林や林業の現状が十分に伝わっているとは言い難い状況があります。
森林は水源かん養や防災、生物多様性の保全など多くの機能を担い、私たちの暮らしと密接に関わり、暮らしを支える基盤であるにもかかわらず、その存在は見えにくく、結果として社会との距離が生まれていると感じています。
この「森林と社会の距離」をどのように縮めていくのかは、これからの森林組合にとって重要な課題の一つであると考えています。
高島市森林組合では、これまでも「森林組合だより」を発行してきましたが、「森林と社会の距離」という課題を背景に、より多くの方に手に取っていただける広報のあり方を模索してきました。そうした中で、2023年5月号からタイトルを一新し、「森と、杣と。」としました。タイトルには、森林を物質(ハード)として捉えた「森」と、文化(ソフト)として捉えた「杣」と、森林の多面的な役割を象徴する二つの漢字を採用しています。木材という資源としての価値だけでなく、人の営みや歴史、文化と深く関わってきた存在として広い視点で森林を捉え直すことが、この広報誌の出発点となっています。本誌は年2回の発行を基本とし、森林施業の現場や林業に関わる人々の姿、地域との関わり、森林を取り巻く社会的課題などを幅広く取り上げています。単なる事業報告ではなく、森林組合の仕事の背景にある考え方や、森と人との関係を丁寧に伝えることを目的としています。

誌面づくりにおいて重視しているのは、「専門的な内容をいかに分かりやすく伝えるか」という点です。林業は専門用語や技術的な内容が多く、一般の方にとっては理解が難しい分野です。そのため、できるだけ簡単な言葉を用い、なるべく多くの写真を活用しながら、森林での仕事の意味や目的、背景が伝わるよう工夫しています。
また、組合への親近感を高めるため、職員の素顔が見える記事や地域との関わりも意識的に紹介しています。特集記事やシリーズ記事といった読み物も毎号掲載し、継続的に読んでいただける誌面づくりを心がけています。
単に情報を整理して伝えるのではなく、「なぜ山でこの作業をしているのか」「この取り組みが地域にとってどのような意味を持つのか」といった視点を重視し、日々の現場での作業一つひとつには理由があり、その積み重ねが森林の将来を形づくっているということを伝えています。背景にある判断や考え方を伝え続けることが、林業への理解を深めることにつながると考えています。
さらに近年は、森林組合の内部にとどまらない地域への広がりを意識しています。地域の清掃活動やお祭りへ積極的に参加することで住民や子どもたちと関わり、また学校教育との連携や木育活動など、森林と人とが直接関わる場を積極的に生み出し、その模様は「森と、杣と。」でも取り上げています。
森林は長い時間をかけて育つものであり、その価値や役割を次の世代に伝えていくことが不可欠です。そのため、広報誌においても子どもや保護者といった新しい層に届くような内容を取り入れ、森林への関心を育てることを意識しています。広報は情報を伝えるだけでなく、森林と人との関係をつくる入り口でもあると考えています。

こうした取り組みと並行して、森林と社会をつなぐ実践的な活動も展開しています。その代表的なものが2024年から始まったイベント「Re-Woods」の開催です。このイベントタイトルは、木や木材(Wood)が集まり、さまざまな価値を持つ森林(Woods)となり、それらと人との関係を再び(Re)見つめ直し、暮らしの中に森林との関わりを取り戻していって欲しいという想いを込めています。
このイベントでは、林業機械の実演はもとより、木に触れる体験やワークショップ、トークショーや即売会などを通じて、森林の価値や魅力を伝えることを目的としています。広報誌で発信した内容を実際の体験につなげることで、「読む」だけでなく「感じる」広報へと拡張してきました。実際に木に触れ、森林や現場の空気を感じることで、言葉だけでは伝わりにくい林業の魅力や意義がより実感を伴って理解されていくと思います。誌面での広報と、リアルな体験の取り組みを一体的に進めることが、森林組合の活動に対する理解を深めるうえで重要であると考えています。

こうした一連の取り組みが評価され、「森と、杣と。」は第58回林業関係広報コンクール(広報誌部門)において、最優秀賞(林野庁長官賞)を受賞しました。この受賞は、誌面のデザインや構成といった表面的な部分だけでなく、森林組合が社会との関係性を見直し、地域内での新しい役割を模索してきたことに対する評価であると受け止めています。
森林組合の広報は単なる情報発信ではなく、森林と社会との接点をつくる重要な役割を担っています。今回の受賞を通じて、その可能性と責任の大きさを改めて認識する機会となりました。
広報誌に加え、日々のSNSでの広報活動などを継続する中で、組合内部にも変化が生まれています。現場の職員が自らの仕事を言葉にし、外に向けて伝える意識が高まりました。これまでは「見せるものではない」と考えられていた作業や判断も、広報として伝えることでその意味や価値が共有されるようになってきています。
また、こうした意識の変化に伴い地域の方々や子どものほか、公共建築物や木造施設の建設に伴う林業現場見学の受け入れなどにも柔軟に対応できるようになり、外部に開かれた組織へと変化しつつあります。広報誌を通して地域の方々から声をかけられる機会も増え、森林組合の活動に対する理解が徐々に広がっていることを実感しています。広報は外に向けた取り組みであると同時に、組織の内側を変える力も持っているといえます。
一方で、森林を取り巻く課題は依然として多く存在しています。森林所有者の高齢化や不在村化、担い手不足や獣害による再造林の難しさなど、山積した課題は複雑化し、森林組合だけで解決できる範囲を超えつつあります。こうした課題は森林組合だけではなく、行政や地域、社会全体で向き合う必要があります。森林組合は山の中の仕事で完結する存在ではなく、地域や社会の中で中核的なハブとしての役割を果たしていく存在へと変化しているのではないでしょうか。
「森と、杣と。」は、その関係性をつくるための一つの手段です。森林の現場で起きていることを丁寧に伝えることで、これまで見えにくかった森林の現状や役割、課題を共有し、森林と人との距離を少しずつ縮めていく。広報はそのための基盤となるものであり、関係者の理解をつなぐ役割を担っているのです。
森林組合は山の中だけの存在ではなく、地域や社会とともにある存在です。森づくりは山の中だけで完結するものではなく、多くの人の関わりによって支えられています。その関係を可視化し、地域社会で共有していくことが、これからの森林組合に求められる新しい役割であると考えています。
今後も広報を通じて森林と社会をつなぎ、森林組合の存在価値を模索し続けます。

平成29、30年度の度重なる台風被害による倒木などにより、朽木地域をはじめ市内各地で、重要なインフラである主要な道路が封鎖されるなど市民生活に甚大な影響が発生しました。高島市では森林整備施策の一環として令和2年度から令和7年度まで6年間、重要インフラ施設周辺整備事業(予防伐採による林相転換)を実施され、安心・安全な市民生活の確保に努められました。
当組合では、令和2年度から令和7年度にかけて高島市より本事業を受託し、延べ約10haを伐採、その後、中低木の広葉樹林への転換に向け、植栽を実施しました。
重要インフラ施設周辺整備事業とは、倒木による道路の通行障害、架線(電線・電話線・光ファイバー線)の切断による停電や通信障害といった被害を未然に防止するため、計画的に道路や電線周辺の高木を伐採、中低木の広葉樹へ植え替えるものです。第一弾として、朽木能家、雲洞谷、麻生地先において重点的に実施されました。
これまで台風が来るたびに倒木が発生し、生活に支障が及んでいた各地域の方からは、「この事業の実施により、倒木による停電等の被害が減ったことを明らかに実感出来る」と嬉しい感想をいただいています。また、これまで倒木発生のたびに復旧作業の為に緊急出動されていた関西電力の方からも、「実施前と比べ、出動回数が減った」「他の地域でも実施して欲しい」とコメントをいただいています。
今回の事業で対応した箇所は市内においてごく一部であり、まだまだ倒木発生の可能性がある地域は存在します。この倒木による道路の通行障害、架線への被害による停電や通信障害を防止するための行政による予防伐採について、「地域課題を解決する社会的な貢献」として、当組合の経験や技術を生かしていきたいと考えています。
写真は、朽木能家地域において県道沿いの高木となった杉を伐採し、倒木被害の危険性がなくなり、明るく見通しが良くなった様子です。道際まで迫る杉の高木が無くなり、台風による道路や架線への被害を減らすことが出来ました。



森林整備やこれからの山づくりの参考にご覧ください。
2025年12月~2026年5月の木材出荷量および内訳は下記のとおりです。中東情勢の影響で素材生産や建築現場にも影響が出始めています。今後も各方面の情報を収集し、事業が停滞しないよう努力を続けてまいります。
さて、4月22日に竣工した伊香立市民センターは、当組合とグループ会社「ITOGEN」が連携して木材を出荷した初の大型物件です。主に杉構造材(梁桁)4~8m・末口径18cmから40cmの原木、約300㎥を高島市内各地域から確保し納めました。特に7mの大径材は条件であるヤング係数検査の基準を満たす材の確保に苦労しましたが、幾度も各地域の現場を見回り、木を見極めることで無事クリアできました。「川上」と「川下」の顔が見える信頼関係を築いてきたからこそ、実現できたプロジェクトでした。

森林施業係 野﨑将司
育休制度を利用し、約1年間休業しました。毎日、洗濯や掃除、子守りに追われ、家事に終わりはないと感じました。一方で、子どもの成長過程にじっくり関われたことはとてもうれしいです。
復帰後は、間伐や保育業務を担っています。新しく加わったメンバーとともに、気持ちを新たにして、仕事に取り組んでいます。

森林整備課森林施業係 主任 来見 嘉卓
森林施業係の来見です。山での森林整備や木材販売の補助を担当する一方、休日には琵琶湖で漁船を操っています。琵琶湖は少し沖へでると一気に水深60mを超える場所もあり、変化に富んだ豊かな湖です。風の無い日は穏やかで鏡のような美しさを見せる一方、風が吹けば白波が立つ厳しい表情を見せます。山も湖も、空や風、光が発する自然の変化のシグナルを敏感に感じ取り、判断する実践型の思考力が求められる点で共通しています。日々自然と向き合う中で鍛えられる感覚は、仕事にも生きています。
普段の仕事のフィールドである高島の山並みを湖上から眺める風景はおすすめです。
